とり貝
貝に魅せられた私のなかでも最も好きな一つがこのとり貝ですね。昔から好きなんです。
二十歳くらいの頃でしたか生意気にも寿司屋に入りカウンターでお好み。
一人前など頼まず、いわゆる“たちで寿司を食う”っていうやつですね。
そこでとり貝の連呼(笑)、10貫は食べたんではないでしょうか、ホント好きでした。
しかも恐らくは季節外れの冷凍もので、ややゴム感のあるやつ。そう昔のとり貝ってゴムのような食感のものが結構あったんです。これで嫌いになった方も多いようで未だにトラウマからか「とり貝嫌い」って方も結構いらっしゃいますね。残念なことです。
私が当時食べたのはそこまでひどいものではありませんでしたが、、、。
旬の未冷凍とり貝は絶品!
とり貝って硬いから嫌いって方には是非とも旬の時期に“冷凍していないとり貝”をたべて頂きたいと思います。とり貝への概念が変わると思いますので。
とり貝は、にぎり寿司でも、刺身でも、酢の物でもボイルしたものがほとんどで、昨今のように旬の時期に生で食べることはほとんどありませんでした。
ですが旬の時期に食べることが出来る“生のとり貝”は本当に美味しいです!
甘さという点では貝類の中で特に秀でているのではないでしょうか。
水揚げから出荷までのスピード、流通の進歩に感謝しなければなりませんね、ホント。
とり貝は毎年美味しい訳ではない
でもこのとり貝、なかなかに難しい商品なんです。
まず一つ目が漁。毎年毎年同じように良いとり貝が獲れることがありません。
昨今で言うと昨2018年は豊漁で厚みのある良いとり貝が愛知県を中心にたくさん獲れましたが今年2019年はやや不漁年で、水揚げ量もさることながら身質が良くありません。
全体的に身が薄くサイズも小ぶりなものが目立ちます。
昔から豊凶が著しい貝として漁師の悩みの種となっている予測不能な貝なんですね。
昨今では養殖のとり貝もあり、若狭湾の宮津・舞鶴で養殖されている“丹後のとり貝”や、七尾湾産の“能登のとり貝”が有名でブランド化されています。
天然のとり貝に比べ殻が大きく、身も大きくて厚みがあり、市場でも大きなもので1個1,200円~1,500円、やや小ぶりなものでも800円~1,000円ほどで取引されます。
超の付く高級寿司店でしかなかなかお目にかかることの出来ない高級食材です。
天然のとり貝は1個で1貫の寿司になることがほとんどですが、養殖の大きなとり貝は1個で2貫~3貫はにぎるのが普通です。仮に1個1,500円のものを2貫とっても1貫原価で750円、寿司店で食べれば1貫2,000円ほどになってしまいます。
とても庶民の口に入る代物ではありませんね。(涙)